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代表合宿セットのレポート
関係者各位

Tondeと一緒にルートセットをしたことは、私にとって今までで一番有意義な時間となりました。

セッター視点はもちろん、クライミングジムを経営する人間として、とても多くのことを得られましたので、少しでも何かのご参考になればと思い、今回の感想を記載させて頂きます。
長くなりますので、お手すきの時にでもお読み頂ければ幸いです。


今回、仕事上は「コンペルートのセット」と同じでしたが、Tonde氏との多くの情報交換を通して、私のルートセットに関する固定観念の払拭、ひいては日本のクライミングジムが今後どういった進化をしていかなければならないのか、非常に多くの知識と経験、情報を得ることができました。

一部のクライマーの中では今回の強化合宿は多少話題をよんでおりましたが、私としては、一般クライマーはもちろんのことクライミングジムの営業に携わる多くの方に興味を持ってもらい、実際に現場を見てもらいたかったと思います。(現状ではそれは難しかったかもしれませんが)

「単に強くなるための講習会」ではなく、日本人クライマーに何が足りないのか、なぜそうなっているのか、その本質をたどれば、必ずクライミングジムの営業システムに行き着き、そこには、クライミングジムがこれから進化していくべき方向性を発見できることができます。
Tonde氏は、その為の非常に多くの有意義なヒントを与えてくれました。そのうちのいくつかを挙げてみます。


まず今回の合宿のメインである課題、日本のクライマーはTonde氏のルートのようなアクロバティックで創造性豊かな課題に対する免疫がないということ。実際にこれらの課題をセットして試登しましたが、今の日本のクライミングジムで同じような課題ができるかと言ったら無理でしょう。大きなハリボテを足元につけるなんてもってのほか、セット後の営業を考えると今回セットしたどの課題も困難を極めます。

近年の草コンペをもってすると、ほとんどのコンペでは営業ウォールのまま、課題をセットして行っています。ホールドを全部外すコンペといったら、限りなく少ない。周知のとおり、復旧の際の手間・費用が嵩んでしまうからですが、その柵さえ取り除ければ、今回のような創造性豊かな課題を、草コンペでも多くの未来のクライマーに体験してもらうことが可能になります。沢山のコンペで同様の課題を味わえるとなれば、問われるのはそのクオリティであり、ルートセットの重要性や独自性・創造性といったものが求められ、ルートセッターの技術アップが必至です。その対価も上がっていくことでしょう。そして、よりクオリティが高くなるにつれ、基盤になる選手達のスキルアップ(技術はもちろん、メンタルや対応力向上)は確実です。

またTonde氏は、ジムにおいて同じ課題を何週間も1ヶ月もトライし続けることはあまり有益ではなく、次々に異なるタイプの課題に取り組み、新しいムーブ、動きを試していくべきだと言っていました。これは前述したことと同様、ジムのホールド替えが年に数回というのが慣例になりつつあり、多くのクライマーは同じ壁で長い期間トレーニングをしていかなければならないということが、それを誘発している大きな原因の一つであるとも考えられます。

ということは、頻繁にルートセットを繰り返すことが必要になります。これに対する解決策は各々のジム経営者が知恵を絞っていかなければならないことです。個人的には頻繁にルートセットができれば、ジムの経営に対するメリットはデメリットを凌ぐと考えておりますが。それが可能になれば、日常から思い切ったルートセットができるようになり、ジム側はルートセットの何が重要なのかを考え、セッターは知恵を絞り、アイデアを常に創造しくようになります。そのクオリティ高い壁で日常からトレーニングできる選手達は、多くの異なるタイプの課題への取り組みが可能になり、スキルアップが容易になるはずです。


今回の講習会は、ただ単に選手達のスキルアップだけではなく、皆の弱点を知ることにより、実に様々な側面からクライミング業界の在り方を考えさせられる取り組みでした。もちろん考えるだけではなく、広い舞台で活躍するTonde氏とのコミュニケーションによって得られたものや、選手間でも同じようなコミュニケーションがあっただろうことも、非常に有意義だったと思います。

私にとっては、今まで当たり前だと思っていたことに対する疑問、アイデアを具現化する良いきっかけになりました。
この機会を与えてくださった皆様には、本当に本当に心から感謝しております。
| 320. | 13:44 | comments(0) | - |
マーブーブログの記事、転載。

代表合宿セットに関する話題であったので、まとめる為にこちらに転載しておくことにする。

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今年は本当に沢山のことを学んでいる年で、僕の中の変化も一つの道に集約されつつあります。

約5年、2時間利用と延長、そして月間パスという営業体制でやってきました。
また、ホールド替えは年2回、テープ課題、ファイル課題、という形式で皆様にご利用いただいています。

時間制利用に関するメリットやデメリット、そしてホールド替えや普段の施設利用に関するメリット・デメリット。さすがにこれだけの時間をジムのシステムテストに費やしていれば、見えてくるものもあります。



今回の数日間、ワールドカップで活躍するルートセッターと共に、日本代表選手たちの為の壁のセットをしてきました。
そこで交わした多くの情報は、僕が以前から悩んでいたことを解決し、より多くの素晴らしい未来を予感させるものでした。未来は明るい。

今の乱立し、システムについて何の疑いも抱かないクライミングジムの流れに、新たな未来へのテストピースとして、マーブーは常にチャレンジしていきたい。

もちろん、マーブーが商業的に成功すること。それと、お客様がクライマーとしてより良い方向へ成長していける最高のシステムとの絶妙なバランスを狙っていくこと。これが永遠の課題で、理想に限りなく近づいていける進化を、常に目指して変わっていかなければならないと思っています。

遠くの未来において変わっていかなければならないことは、クライミングに携わる誰もが予感していることでもあり、しかし誰もが変わろうとしていないことでもあります。
完全にジムを経営している人間の視点での話でごめんなさいね。


で、年明けあたりから、大規模なマーブーの営業システムの変身を考えています。
常にリスクに挑戦していけるように、基盤を変えて取り組む為に、です。
今はそれに向けて、様々なシュミレーションをしている最中です。


今の体制に慣れているお客様には少しの戸惑いをさせてしまうかもしれませんが、こんな僕の考えを身をもって伝え、理解してもらい、皆で新しいことに挑戦し成長していけるスペースを作れるよう、骨を埋める覚悟でこれからも頑張ります。

って、抽象的すぎて何がなんだかわからないかもしれませんが、今月中には、その新しい変化の第1弾について発表する予定で動いていますので、それまではしばしお待ちを。
| 320. | 13:50 | comments(0) | - |
BWCルートセットその3
さて、2日目までは疲れてはいたもののなんとかブログを書くことができたけど、3日目4日目はmacに電源を入れることすらできない疲れ具合。

3日目は1日目と2日目の行程を1日でやらなければならない超ハードスケジュール。
作成課題はWCセミファイナル想定課題をmen x 4、women x 4に加え、レッドポイント用ハード課題が3課題ずつの6課題、合わせて14課題。

実際、いつものルートセットの仕事の場合、多いときは1日で30課題以上つくるから、数でいうとそんなに大変じゃない。
けど、これがWCセミファイナルとなると、そうは簡単にセットできない。


集合時間より早く現場に到着し、ボリュームのセットから始める。
ちょうど一つ目のボリュームを付けた時にTondeが来て、そのままの流れで作業開始。

前日までのセットでは、Tondeのプランに合わせてボリュームやホールドを選んでセットしていく形だったが、今日は時間が無いのと、昨日までのセットとは大幅に内容を返るということで、逆の方法でセットしていく。

まずはボリュームをつけ、その後で課題をどの場所にどういうものを作るかディスカッションしながら決めていく。

ボリュームをセットする時に指示されたことは一つだけ。
「一目見て、かっこいい!と思うようにつけろ」

どこそこに付けろって指示される方がよっぽど簡単で、こういう指示が一番難しいのは誰でもわかると思うけど、でも、Tondeいわく、これが僕らセッターの個性を出し、そこからアイデアが生まれ、すばらしい課題になる、とのこと。

Tondeは一人で全てのジャンルの課題を作れる最強のチーフセッターでありながら、他人の目やアイデアを常に吸収している。僕がボリュームを一つつける度に、すぐにイメージが出来上がっていくみたいで、その後の進捗が異常なほど速い。本当に心から尊敬する。

そうこうしているうちに、千葉監督が加わり、だいたいのボリュームのセットが終了。
その頃、Vertのタッキーが到着し、付けたボリュームとTondeや僕らのアイデアを出し合ってしばしディスカッション。
その後、各プランに沿って、割り当てられたパートのセットに入る。

各パートのセットが完了したら、あとは皆で登りながら課題を調整、確定していく。


セットした課題は、
 難解なマントル
 ボリュームをうまく使った混乱を誘うスラブ課題
 強烈に体幹を使うカチ課題
 厳しいダイヒードロからのダイノ
 不自然なレイバックからのダイノ
 チェンジコーナー
 スーパーパワフルなダブルカンテ
 遠目なダイナミック課題
 ボリュームマントルからのレイバック
 細かいホールドをバランシーにつなぐ垂壁
 左右レイバックが交互に連続する課題

こんな感じだった。
1日目と対照的に、ある程度ホールドを保持する傾向が強いものが多かった。



Tondeはちょっとしたことでも妥協しない。
この日よく言っていた(実はあとからかなり調整した部分もだけど)主にスタート位置のフットホールドが全体的に大きすぎるということ。
悪くする、ということではなく、小さくする、ってことで、小さくてもそこそこ踏めて、なおかつそのルートと同じ色のホールドを探すのはかなり困難だった。
それでも、出していく案はことごとく却下され、結局は彼のプライベートコレクションの中から使用することになった。

スタートポジションから、選手を精神的に揺さぶる。
ホールドが大きいと、選手は適当に足を置く。WC選手だろうが一般のクライマーだろうが変わらない。大きいと適当に処理してしまうことがいけないということだった。

小さければ、踏むポイントを探るし、なおかつネガティブだったら精神的にも緊張するし、力も入ってしまう。
選手は、こういう小さな動揺や過度なパワーをコントロールしていくことが必要だと。
そう思っている以上、スタートのフットホールド選びには決して妥協が無いのだろうと思う。

同じように、ボリュームにも極力何も付けない。
ホールドを付けてポジティブにするよりも、ボリュームの位置や角度を変更してポジティブにすることをまず選ぶ。
ホールドを付けるということは、そこを持つ(もしくは踏む)というヒントになる。何もついていないボリュームはどこを持つのか、どういうムーブを起こすのかを想像することを困難にする。
フットホールドと同様、この点においても妥協は皆無で、満足するまで繰り返し繰り返しセッティングを変更していく。

一つの課題をこんなにも煮詰めて作ったことがあるだろうか。
煮詰めたとしても、煮詰めた気になっていただけじゃないだろうか。

おかげで帰宅したときには体は正真正銘の、ぼろぼろ。ばたんきゅー




翌日から日本代表の合宿が行われ、僕は夜からお手伝いに行った。
渋滞のせいでかなり遅れてしまったが、2日目用のホールドを付け、多少の微調整をやり、今回の僕の役は無事に全て終了。

そのTonde、どうやらジャパンカップのセットにもチーフとして来るようだ。
彼は僕にその時に一緒にセットしようと言ってくれたけど、それが叶うかどうかはまだ分からない。
何せ、Tondeがセットに来るかどうかも未確定だし。

でも、ジャパンカップまでにまだ2回はコンペのセットができる。もしかしたらまた一緒にセットできるかもしれないという希望を持って、次に合うときにもっともっと進化したセットを見てもらえるように、「より細かい部分に拘り、妥協しないセット」をしていくとともに、「常に新しい試み」をしていこう。

Tondeいわく、選手にとってリスキーな課題は、コンペをすごく盛り上げる。
それは同時にセッターにとってもとてもリスキーなことだけど、それを恐れては良いセットはできない。



そして、来週の日本選手権もTondeがチーフとしてセットするようだ。
今年はTondeに日本中の有力クライマーがあっと言わされることだろうと思う。
| 320. | 12:16 | comments(0) | - |
BWCルートセットその2
さて、今日はルートセットの2日目。
昨日のアイデアからセットしたボリュームを使って、課題にしていく作業。

セットの基盤はできているから、実際に課題にしてく部分はいつものコンペ用セットと大して変わらない。

もちろん勉強になったことは多い。
例えば、部分的に変更する場合は、がっつりやった方がわかりやすいし効果があるし、一発で決まることが多い。とか。

基本的に手を変えていくのではなく、足を変えていく、とか。もちろん課題によるんだけど。

でも、そんなことはまあそんなに重要じゃない。ダズンマター


重要なのはシンプルイズベストってこと。

ムーブのことじゃないよ、見た目のこと。

カラーももちろんシンプルに、わかりやすく。ごちゃごちゃするのはあんまり良くない

なぜって?

その革新的な理由はもうもったいなくてここじゃ説明できないぜ


てことで、また明日、がんばんべ
| 320. | 22:57 | comments(0) | - |
BWCルートセットその1
今日からの3日間はライムストーンクライミングクラブにてルートセット手伝いの勉強。
仕事じゃなく、勉強。

日本代表の特別合宿で使用する課題のセット。
ボルダリングワールドカップでセッターを務める国際A級ルートセッターのTonde氏の手伝い、という名目。

オーガナイズは全て氏が行う。
まずはアイデア出し。
たぶんこのプロセスが一番大事なんだと思う。
できるか、できないかは二の次。

ムーブ、というか、動き、というか、盛り上がる課題の基軸となるアイデアを出し、そのアイデアを元にしてボリュームを付けていく。

ほぼ全てのアイデアは氏が以前よりプランニングしていたので、それを元に。
僕も1課題アイデアを出させてもらった。

そんなこんなで、アイデアを少しだけ形にして初日は終了。


今思いつく限りで、自分で勉強になったと思ったことを書き出しておく。


主役の選手が、いかにかっこ良い動きができるか、いかに観客をあっと驚かせることができるか、そして、いかに観客に選手をヒーローだと思わせられるか。
セッターはヒーローが格好良い姿を披露する「舞台」をつくるのが仕事。

良いアイデアも、一人の傲慢な決定では良い舞台にはならない。
みんなでディスカッションしながら、アイデアを具現化していかなければならない。

アイデアを形にする第一段階は、3分以内にやる。
これ以上時間をかけると、アイデアは歪んでしまい、ダメなループに陥る。
3分以内に具現化できない場合は、他の人に変わる。これが効率的で、良い舞台作りになる秘訣。

コンペ課題をグレーディングで分けない。矢印表記。↑・→・↓

全てはクオリティ重視。
意見の食い違い、羞恥心、独りよがり、傲慢なものはクオリティを落とす。
常にチーム全員がクオリティの高さを求めてディスカッションし、具現化していくことこそ、クオリティを高める唯一の方法。


ジムのテープ排除に関する興味深い話も聞いた。



アイデアの一例。

・トリプルジャンプ
・レッグダイノ
・ランニングジャンプ
・マントリング
・難解スクイーズ
・高難度デッドポイント
・マントリングジャンプ

などなど。


今回はコンペを対象としたルートセットなので、特に重要視している点は「リスキー」であること。
前述した通り、グレーディングをしないのだが、WCでもグレーディングしたらV6〜V8ぐらいだろうとのこと。

故に、保持力だとか、ムーブの難しさだとかは問題じゃなく、簡単だけどすごくリスキーなムーブだとか、何回かやればほとんどの人はできるけど、1回できたとしても、それが確実にできるようなものでないものだとか、そういうこと。




初日はアイデアの具現化の第一段階のみだったので、このようなことだった。
明日からは実際に形にしていく作業に入る。


このようにリストアップしていくと、僕がマーブーコンペで意識していることとWCでセッター達が頭を捻って悩むことは、もちろんレベルの差は大きいけど、あながち間違っていなかったと認識した。

クライマーに登ってもらいたい、クライマーに楽しんでもらいたい、お客さんに嫌われたくない、そういったセッターやジムオーナーの考え自体がイベントを失敗に導いてしまう現象は、もはや確定的だと思う。

「いかに見ている側の人間を意識し、いかにクライマーを英雄に仕立て挙げられるか」

コンペの成功にはセッター・運営のチーム全員がこの思考の共有が不可欠。


保持力で優劣を競う時代はとっくの昔に終わっているってことに気づかないのは愚かだと思う。

一瞬のチャンスをものにできるかできないか、そこで優劣を決められるコンペを開催することができれば、観客は驚き興奮し、クライミング競技を見ることに幸せと楽しみを覚えるだろうし、選手は自分のコンセントレーション能力やコーディネーションに対する意識も変わり、失敗したことは大きな経験となり、成功したことは大きな自信となる。

結果的に、皆が懸念する「クライミング競技を観戦することにお金は払わない」ことからの脱却につながるのではないだろうか。
そして、収入源が確保されれば、さらに課題やイベントのクオリティが上がるのは必然的で、なぜお金を取るイベントとならないのかを、日本人の先天的な性格に決めつけるのではなく、イベント自体に対する考え方を大きく方向転換しなければならないのではないだろうか。



後半は独りよがりな感想になってしまったが、初日だけでもとても多くの有意義な勉強ができたし、また何か自分の中に一本の柱を得ることができた。

本当に、明日からの2日間がさらに楽しみでしょうがない。




| 320. | 22:12 | comments(2) | - |
武装
ウインドジャマー。




そして、その効果は絶大。


風切り音がほぼ無音になった。

その恩恵で、遠くの音もより拾えるようになった。


| 320. | 11:10 | comments(0) | - |

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